レーシングスーツの丈詰め事例

「海外通販で憧れのレーシングスーツを購入したけれど、身丈が長くて股の位置が下がり、不恰好になってしまう…」

「FIAなどの公認ラベルやタグを傷つけずに、自分の体型ぴったりにお直ししたい」

モータースポーツのレーシングスーツは、安全基準を満たす特殊な構造やインナーの裏打ちがあるため、一般的な洋服直し店では断られてしまうことも少なくありません。

今回は、イタリアから個人輸入された4輪用レーシングスーツをお預かりし、公認タグやデザイン位置をそのまま維持しながら身丈(ウエスト〜上半身)を短く直した事例をご紹介します。

お客様からのご相談内容

今回のお客様は、身長155cmのドライバー様。イタリアの通販サイトにてレーシングスーツを購入されたものの、試着ができなかったためサイズ感でお悩みでした。

【お客様からのメッセージ】

「4輪のレースで使用するレーシングスーツをイタリアの通販で購入し試着をしなかったので身丈が長すぎました。当方身長が155cmですが体重が重いので身幅はなんとか入りましたが股の位置が下の方になってしまいました…」

「ファスナー横の公認ナンバーなどが入ったタグは残したいです。デザインは何も変えずに前は胸の切り替えグレーの部分より下5cmくらい、後ろは腰のグレーの部分より上5cmくらい短く詰めたいです。」

海外ブランドのレーシングスーツは、ヨーロッパ人の体型(長身・長胴・長い手足)をベースにパターンが引かれているため、

日本人の体型に合わせると「身幅は合っているのに身丈が余り、股上が深く下がってしまう」という現象が非常によく起こります。

施工前の技術的見極め(難易度の高いポイント)

レーシングスーツは一般的な服と異なり、複雑な縫製構造を持っています。事前にお客様から何枚も写真をいただき、構造を解剖しながら施工計画を立てました。

  • 1. 公認ナンバー・安全規格タグの保護(最優先)ファスナー横にある赤丸指示の公認ラベル・タグは、レース出走にかかわる重要箇所。絶対に切り落とさず、そのままの位置で残す必要があります。
  • 2. 前後の切り替え(接ぎ)位置のズレとポケット構造前身頃と後身頃が同じ水平ラインで接がれておらず、前ウエストの切り替えにはスラッシュポケットが配置されていました。
  • 3. 裏打ちインナー構造とファスナーの脱着防炎・保護のためのインナー生地(裏打ち)が一体化しているため、裏地も含めた解体が必要です。また、身丈を詰めるために一度フロントファスナーを丸ごと外して打ち直す工程が発生します。

※ファスナーの再縫製にあたり、構造上どうしても過去の針穴がわずかに残る可能性がある旨をご説明し、ご了承いただいた上で施工を開始しました。

施工アプローチ

前身頃:胸の切り替え部分を解体・カット

前身頃は、胸の切り替え部分の縫製を解き、ご希望のラインに合わせて生地をカット。スラッシュポケットや重要タグの位置・機能を干渉させない絶妙な位置で長さを調整しました。

後身頃:ウエスト切り替え位置でのカット

後ろ側は腰部分にあるウエスト切り替えを利用してカット。前後の切り替え位置が異なる構造でも、着用時に左右・前後のバランスが自然に見えるよう立体裁断の技術で馴染ませています。

ファスナーの脱着と裏打ち始末

一度フロントファスナーを取り外し、カットした身丈に合わせて再度インナー生地(裏打ち)と一緒に巻き込みながら再縫製。

厚みのあるレーシングスーツの生地でも突っ張らないよう、頑丈かつ綺麗なステッチで仕上げました。

ビフォーアフター(仕上がり)

【Before】お直し前

身丈が長く、股の位置が膝近くまで下がってしまい、歩行時やシートに座った際に生地が余って不快感がある状態でした。

【After】お直し後

デザインや公認タグの位置はそのままに、身丈がジャストサイズに縮まったことで股の位置が正しいポジションへ引き上がりました!

ディテールのこだわり

重要タグは元の位置のまま綺麗に残し、解体した切り替え部分やファスナーまわりも違和感なくフラットに収まっています。

海外製レーシングスーツ・モータースポーツ衣装のサイズ調整でお困りの方へ

「海外通販で買ったレーシングスーツの丈が合わない」

「既製品のスーツだと股上が深すぎてペダル操作や乗降に支障が出る」

「他店で構造が複雑だと断られてしまった」

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