事業主として仕事をしていると、
「もっとたくさんの仕事をしたい」
「もっと多くの人にサービスを届けたい」
そんな気持ちが自然と湧いてくる。
衣装制作の仕事をしている僕も、例外じゃない。
フィギュアスケート衣装でも、
病院用のオーダーパンツでも、
個人の特別な服でも、
「もっと困っている人の力になるべきだ。」と思う。
でも今朝ふと、こんなことを考えた。
“仕事が欲しい”という気持ちだけが先に走るのは、ちょっと危険なんじゃないか。
今、目の前にいるお客様にどれだけコミットできているか
衣装オーダーをしてくれるお客様は、
それぞれに事情があって、
それぞれに悩みがあって、
それぞれに“叶えたい未来”がある。
- 大会で自信を持って滑りたい子
- コルセットを巻いたままでも履けるパンツを探している人
- レントゲンやMRIで困らない服が必要な人
- 既製品ではサイズが合わない人
- 着替えが難しい人
衣装制作は、ただ布を縫う仕事じゃない。
その人の未来に、自信や活力を与える仕事。
だからこそ、
「もっと仕事が欲しい」という気持ちよりも、
“今、目の前のお客様にどれだけ向き合えているか”
ここが一番大事なんじゃないかと思った。
納品した後の未来まで想像できているか
衣装を渡した瞬間がゴールじゃない。
- その衣装を着てリンクに立つ姿
- 病院での検査がスムーズに進む姿
- 着替えが楽になって、生活が少し軽くなる姿
- 自分に合う服を着て、表情が明るくなる瞬間
そこまで想像して、
そこまで責任を持って、
そこまでコミットできているか。
仕事を増やす前に、
まずここを大切にしたい。
たくさんの仕事より、ひとつの仕事を丁寧に
もちろん、事業主として売上は大事だし、
もっと多くの人に届けたいという気持ちも本音だ。
でも、
ひとつひとつの衣装オーダーを丁寧に仕上げることが、
結果的に次の仕事につながる。
焦らなくていい。
急がなくていい。
今、目の前の一着に全力で向き合うことが、
未来のお客様を連れてきてくれる。
そんな気がしている。
終わりに
最後まで読んでいただきありがとうございます。
オーダーは、特別な人だけのものではありません。
「ちょっと困っている」「少し不便を感じている」——そんな小さな違和感からでも、相談して大丈夫です。
フィギュアの衣装でも、病院用のパンツでも、
「こんなことお願いしていいのかな?」と思うことこそ、聞かせてほしいことです。
あなたの生活や、大切な一瞬を支える一着を、
一緒に考えていけたら嬉しいです。
「こんなこと相談していいのかな?」という小さな疑問や不安でも、
どうぞお気軽にご連絡ください。
「手元にまだ数回しか着ていないお気に入りの既製衣装があるのだけれど、新しいプログラムに合わせてガラリとリメイクしたい」 そんなご相談から、今回の大作リメイクプロジェクトが始まりました。 一から衣装をお仕立てするのとはまた違う、制約があるからこその面白さと難しさが詰まった、アトリエの舞台裏をお届けします。 1. 最初の印象と、立ちはだかる「リメイクの制約」 お客様から送られてきた画像(Before)の第一印象は、エレガントなピンクのベロアの衣装。ご自身でも手を加え、ストーンを追加して大切にされてきた形跡が伝わってきました。 今回の新しいプログラムのテーマは「フラミンゴ」。 お客様からの具体的なご要望は、以下の3点でした。 ネックの仕様をハイネックにしたい 成長に伴い、少し短くなったスカート丈(特にお尻まわり)が気になる 二の腕のところに色を入れてほしい 一から作るオーダーメイドと違い、リメイクには多くの制約が伴います。すでに元の装飾ががっちりと縫い付けられているため、ミシン目を解けない箇所も多いのです。 例えば、スカート丈。お尻まわりが気になるからといって、ウエストの位置から解いて新しく縫い直そうとすると、そこまでびっしり縫い込まれたスパンコールの装飾をすべて手作業で外さなければなりません。それは、元の衣装への敬意としても、何かが違う。 アトリエの職人としての、知恵の絞りどころです。 2. 野生のフラミンゴを眺め、たどり着いた「3Dの羽パーツ」 フラミンゴの躍動感を出すために、最初は「本物のフェザー(羽)を縫い込むのはどうか?」という案も出ました。しかし、衣装に合う質感の良いものが見つからず断念。 そこから私は、野生のフラミンゴの写真をじっと眺め、どうすればあの美しい鳥の生命力をリンク上で表現できるか、様々なヒントを探りました。 行き着いた答えは、「羽そのものではなく、羽を思わせる立体パーツを自作して縫い付ける」というアプローチです。 スカートの丈を「誤魔化す」のではなく「魅せる」 短さが気になっていたスカートには、フラミンゴの尾羽(テール)をイメージして立体的なフリルパーツを組み上げました。 これにより、丈の短さを美しくカバーしながら、滑走時にふわっと揺れる立体的なボリュームを手に入れています。 離れた客席からの見え方を計算した
こんにちは、Toecrossです。 いよいよ明日から7月がスタートしますね。 スケーターの皆様、解禁された新シーズンに向けて日々練習に励んでいることと思います。 8月末に開催される「札幌カップ」に向けて、少しずつ準備が始まっている頃ではないでしょうか。 おかげさまで、今シーズンもすでに夏以降のスケジュールが徐々に埋まり始めております。 大会直前になって焦る前に、万全の状態で本番を迎えるための「衣装の準備」について、大切なお知らせがあります。 7月後半〜8月はご依頼が集中します 毎年、大会の約1ヶ月前(7月後半〜8月)になると、新しい男子フィギュアスケート衣装、女子フィギュアスケート衣装の新規制作や、成長に伴うサイズアウトのお直しのリクエストが一気に集中します。 しかし、私は一着一着を大切に、選手の「第二の皮膚」となるような高いクオリティとフィット感を維持するため、一度にお引き受けできる制作枠に限界を設けています。 「もう少し早く相談していれば本番に間に合ったのに……」とお断りせざるを得ない状況になるのが、作り手として最も心苦しい瞬間です。 そこで、枠が完全に埋まってしまう前に、大切な大会を控えた選手のご家族に向けて、本日より【札幌カップ向けの先行相談・お席の仮予約】の受付を開始いたします。 「まだプログラムの曲が決まっていない」という段階でも大歓迎です 「新シーズンのプログラム曲がまだ確定していなくて、デザインなんて考えられない」 「構成が変わるかもしれないから、お直しが必要になるか、まだはッキリ分からない」 という段階であっても、全く問題ありません。 男子シングル・女子シングル問わず、 「8月の札幌カップに出場する予定がある」「もしかしたら衣装の調整が必要になるかもしれない」という状況さえ教えていただければ、まずはあなたのお席(制作・お直し枠)を最優先でキープ(仮予約)させていただきます。 曲やデザイン、サイズ調整の具体的なお話は、スケジュールが決まってからゆっくり進めていきましょう。 【公式LINE会員様限定】仮予約・先行相談はこちらから 今回の「札幌カップに向けた優先枠の確保(仮予約)」および事前のご相談は、公式LINE会員様限定で受け付けております。 強要するものでは一切ございませんので、 「ギリギリになって焦る前に、とりあえず枠だけ押さえておきたい」 「
こんにちは。 今回は、先日お届けさせていただいた、特別な男子フィギュアスケート衣装の制作舞台裏をご紹介します。 表現するプログラムのテーマは、名作『ウエストサイドストーリー』。 実はこの一着、Toecrossにとって非常に思い入れの深い、特別な「2代目の物語」が詰まっています。 「サイズアウト」という最高の勲章と、新たな男子フィギュアスケート衣装への挑戦 今回のご依頼は、2023年1月に同じ演目のために制作した初代の男子フィギュアスケート衣装(※当時の制作記録はこちら)が、お子様の健やかな成長によってサイズアウトしたことから始まりました。 身体が大きくなり、表現力も技術も一段と成長した彼から、再び「もう一度、Toecrossで男子フィギュアスケート衣装を作ってほしい」と言っていただけること。 これは衣装作り屋として、これ以上ない誇りであり、最高の喜びですよね。 しかし、ただ同じものを大きく作って終わりにするのは、私もそうですし選手もそれは違うんですよね。 今の彼の、よりダイナミックになったスケーティングと、深みを増した表現力に合わせ、今回はデニム素材からさらなる進化を遂げた「シャツタイプ」へのリニューアルの希望でした。 理想の「デニム風」を叶える、競技内容に適した2WAYストレッチ素材の選択 彼が希望されていたのは、演目の世界観にぴったりな「デニムの風合い」。 プログラムのウエストサイドの雰囲気にこの素材は外せないとのこと。 しかし、本物のデニム生地では重く、男子シングルの激しいジャンプやステップのノイズになってしまいます。 そこで、デニムのラフな風合いを絶妙に表現しつつ、激しい競技内容に完璧に適応する「2WAYストレッチ素材」を厳選しました。 リンクの上で100%の力を出し切り、音楽と氷、そして自分自身が完全に一体となる(無我の境地に至る)ためには、 男子フィギュアスケート衣装が「第二の皮膚」のようになじんでいなければならないからです。 機能性とデザイン性の両立こそ、オーダーメイドの真髄です。 挑戦的なスプラッシュペイント × 輝くストーンの融合 『ウエストサイドストーリー』が持つ、ストリートの熱量、若者の葛藤、そして爆発するエネルギー。 それを表現するために、今回の男子フィギュアスケート衣装には「挑戦的なスプラッシュペイント」を手作業で大胆に施しました。 機械