衣装づくりの仕事をしていると、
華やかなステージの裏側だけじゃなくて、
日常の中の“困った”に寄り添う瞬間がある。
今日は、そんなお話をひとつ。
フィギュアスケート衣装をオーダーしてくれる親御さん
フィギュアスケートの衣装をオーダーしてくれる親御さんたちは、
本当に温かい。
「この子がリンクで自信を持てるように」
「大会で悔いなく滑れるように」
そんな思いを、布とラインストーンに託してくれる。
衣装はただの衣装じゃなくて、
親子の願いが詰まった“お守り”みたいな存在になる。
そんな気持ちを受け取るたびに、
作り手として背筋が伸びる。
そしてもうひとつのオーダー。病院に通うためのパンツ
ある日、いつも衣装のご相談や僕の展示会などに足を運んでくれるお客様からこんな相談をいただいた。
「足が悪くて定期通院しているんですが、
病院で使えるパンツって、なかなか無いんです」
レントゲンやCT、MRI。
どれも金属がNG。
プリントもNG。
太ももまでめくりやすいことも大事。
さらに、腰を悪くした時はコルセットを巻くから、
普通のパンツだと入らない。
外側に巻けばマジックテープが服にくっつく。
手や腕を怪我していると、
ファスナーもボタンも紐も難しい。
病院に着いたら、スウェットパンツなどに履き替えるのも大変。
とはいえ、これらの服で移動す流のは、ちょっと。。。
「病院服みたいに見えないものがいいんです」
「でも、全部の条件を満たすものがないんです」
その言葉を聞いた時、
“これは作る意味がある”と強く思った。
条件は、金属ゼロ。裾がめくりやすくて、履きやすくて、生活に馴染むこと
条件はシンプルだけど、難しい。
- 金属製の部品は一切使わない
- 太ももまでスッとめくれる
- コルセットを巻いたままでも履ける
- 手が不自由でも扱える
- でも、病院服には見えない
ひとつひとつの条件の裏に、
その人の生活がある。
だから、丁寧に形にしていった。
そして届いた、お客様からのメッセージ
完成してお渡ししたあと、
お客様からこんなメッセージをいただいた。
いつもありがとうございます。
病院用の服って、中々ないので助かります。
困っている方は多いと思いますよ。
レントゲン、MRIなどは金属がNGですし、
診察や検査の時に太ももまでめくりやすいのは最高です。
腰を悪くした時も、コルセットを巻いているとズボンが入らないのですが、
あのオーダーパンツは全ての願いを叶えてくれます。
病院服のように見えないのが良いです。
手や腕を怪我していると、ファスナーやボタン、紐って難しいんですよ。
袖がマジックテープの服が一番楽チンでした。
読んだ瞬間、胸がじんわりした。
「作る」という行為が、
誰かの生活を少しだけ軽くすることがある。
それは、ステージ衣装でも、病院用のパンツでも同じ。
華やかな衣装も、生活を支える服も、どちらも“誰かの人生の一部”
フィギュアスケートの衣装は、
その子の人生の一瞬を輝かせる。
病院用のパンツは、
その人の毎日を少し楽にする。
どちらも、
“誰かの人生の一部を支える服”だ。
だから、作ることをやめられない。
そして、作る技術を未来に残したいと思う。
今日もまた、ミシンの前でそんなことを考えている。
僕と繋がりませんか?
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