投稿者名:lust

衣装作成

フィギュアスケート衣装-3

女子の仮縫い二回目が終了した。大幅に変更になることに。おおよその予想はしてきたものなので驚きは無いけど。既製服作りで固まっていた固定概念は一切捨ててのぞむ仕事。1回目の時は、伸縮性の無い生地で上手く確認が取れなかったとこから修正。 気になっていた点、ヒップ辺りでスカートに切り替えるところ。伸縮性のあるパワーネットとシフォン生地とを縫い合わせして果たして馴染むのか?そして、フィギュアスケートの衣装の顔になる後ろのラインがしなやかな線に出てくるのかを気にして。 実物の生地に近いパワーネット、前回とは違い楽々着ることができたが、着ることができないのは嫌だったんで、大人の9号サイズで用意してみたところだいぶゆとりができてますね。コスチュームにはゆとりは要らないもので。肌のようにフィットさせるのが良いとされる。成長した時のためにゆとりを入れておく必要はないみたい。丈の余ってる分も気になって、2cmくらいカットしたほうがよさそうだ。長めに切っておいたスカートも丈上げで調整して。ドレープ分はタップリと取っていたのだけど、彼女にはちょっと分量が多く感じてるみたいでこれも取り除くことに。マチ針を打って、余分な贅肉じゃないけど、布をつまんで。 横に入る皺は、単純に丈の余っている分。 少し突っ張るくらいでできているほうがピンとするものなのか? いや、でも後ろ中心にファスナーをつけるから、そこは伸縮が出ないんで演技する時きになってしまうんじゃないか?など。ぶつぶつ考えてしまうわけ。 成長と、きれいなシルエットを作っていく関係で親御さんからの希望では浴衣じゃないけど成長をしたら多くとった縫い代を利用して解いて作り直してほしいと。しかし、気持ちは十分に理解した上で、パワーネットとかカットソーの特性を生かせる縫いはインターロックなどの縫いだ。故に、縫い代は細くなるしかない。 ここは、成長のことを考えて糸切れ覚悟の縫い方を選ぶか、機能性と美しいシルエットを選ぶか、折り合いをつけて本番生地で組み立てに入っていくしかないだろう。 本体の構成が仕上がるまで、なんか気分が浮かない。 自分が未熟なのか。とか考えてみたりもするが最初にも決めていたこと、「既製服で覚えてきたことは一度リセットする。」そう考えることで、素直にまた向き合える。 話は脱線するが、仮縫いで用意したこの生地が彼女にはお気に入りだったらし

closeup photography of presser foot of sewing machine
ライフスタイル

まさかの坂を下った後に

最初の繊維のお仕事を始めてから僅か3か月もしない、真冬の12月だったと思う。 下った先には何もなかった。 とりあえず何も仕事をしないのは時間の無駄になるから。 何でも良かった。というか、必要とされていれば。知り合いの紹介で、まず取り掛かったのは保育園の発表会の衣装だった。 割と富裕層のお子様の多い保育園だったんで、しっかりと布で作ったものを求めていた。 約30着弱。ベスト&スカートのバージョンとベスト&提灯ブルマーのタイプの物とだ。 一人でサンプルから量産までやるか? 期間は1ヶ月くらいあった。 サンプルを早速用意して、園児に着せて特に修正の依頼はない。 個人的に修正したいところに手を入れて。 そして、ここから少し考えてしまう。お見積もりだ。 こういったケースの仕事は受けた事がないから。 何というか、簡単。。に仕上がってしまう。 後々に、保育士さん達でも製作出来るくらいのパターンを意識して作ったことも影響して、ベストとかは外注さん工賃見積もりで800円で裁断込みで了承してくれた。 4日間も有ればできるだろとのことで。 日当で、6000円だ。 恐らく、レギュラーで抱えている仕事の進行が良くないタイミングに挟み込むスケジュールで考えてくれたのだろうと思う。 普通にやれば2日で終わるだろうと納品の時言っていた。 ものを作る仕事というのは、皆んな一緒だとけど、ほんの少しだけ資材が足りないというだけで時間ロスなど色々なケースでスケジュールより遅れていくもの。 なので、長年、個人で自宅などで請け負いのお仕事をされている職人さんは想定されるロス時間の相談を交えて仕事の発注をお願いすると、意外とうまくスケジュールを組んでくれるもの。 結局、衣装は保育園の希望する予算で請け負うことにした。1セット=2000円を希望してきた。 資材費は、別途で請求。30セットで60,000円。外注費が24,000円。自分のとこには、36,000円になる。最低でも、3日間で仕上げないとただのボランティアである。 保育園を出入りしていると、保育士っぽくない風体の人がいるので、父兄の中に何かのレッスンの先生ですか?と質問もあったり。でも、何も隠すようなこともないので今、自分のやっている仕事の内容などをお話ししたところジーンズのリペアの依頼などをいただくことができたりした。穴のリペア1か所=

女性服

プリーツスカートを量産した記憶

プリーツスカート、そろそろ人気も落ち着いただろうかと思うこの頃。 7,8年前に僕は縫製工場勤務でプリーツスカートの量産に携わる機会があったときの 経験からの話です。 まずはサイズの均一 サイズをできるだけ均一に、 サイズ別にどうやって作られているのか?なんです。 ウエストなど幅の寸法は、単純にプリーツの本数で分けられる。 丈は?となると。 基本的にプリーツ加工される製品は型紙でジャストな大きさで正裁断されることは、 ほぼないです。丈に関してはほとんど切り落とし分をつけて一回目の裁断がされます。 プリーツをかける、プリーツの折り目をつけるといったほうが理解しやすいかと思うけど、 加工の際に熱が加えられるので、繊維が熱で収縮してしまう。 だから、ぴったりに裁断してしまうと決めていた寸法に足りなくなってしまったりするので、 丈で2cmくらいは余分につけておくと安心。 裁断は意外とアナログです。 精工にCADとかでプリーツの幅だとか計算して本数を決めたりパターンナーは指示を入れてはきますけど。 生地は糸が織り合わさって組織になってできているもの。 重力にとても素直なもの。 縦糸、横糸をまっすぐに通すことを怠ってはいけない。 どうするかというと、切りたいパーツの丈を決めたら生地幅なりに切り込みを入れて生地を裂くんですね。ビビ~っと。 そして、生地を吊るすのです。「ケン張り」する。 と、裁断士は言うんだけど、正確な漢字はわかりません。 ググっても出てこない、工場業界用語なんで。 「ケン張り台」とかいうお手製のスライドできる台とかに裂いた生地を何十枚も吊っておく。 2時間も吊っていると裂いたとこが、床に直角にまっすぐになってる。 そして、そのまま台をスライドさせて床に平行にさせて裁断することになるんだけど、 裁断したものの生地の地の目がわかるようにどこか横糸でも縦糸でもわかるような裁ち方をしてあげるのが、プリーツ加工場と上手く連携していけるかの重要なとこ。 極端な話、裂いただけの四角いままで加工に入れたほうが良いものもあるのだから。 しかしデザインものの場合、加工は楽にできるかもしれないが、 そのあとの正裁断が地獄の難しさになることになる。 なので、後からの正裁断のやり方まで想定して、 加工と正裁断の効率の良い平均値になる形を決めるのが妥当だろう。 プリーツのパーツは基本的には

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ライフスタイル

最初の繊維の仕事依頼

繊維を扱う仕事とは少し離れてみようと思って、外の世界へ飛び出してみたのもの。 結局は、離れてもやはり僕という存在が社会で必要としてもらえることは繊維を扱って何かを作る相談とか、 実際に生地を持ち込んできて何かを作ってほしいとの依頼が多かった。 なので、世の大きな流れに逆らう理由もないから。 役に立つこと=仕事 シンプルに。 深く考えない。 最初にいただいた仕事の依頼は、 子供用のバックパックの量産の相談だった。 ハンドメイド作家さんが、 ハンドメイドブームに本人の予想に反してSNSなどでブレイクしてしまい。 原料になる生地、付属資材の仕入れから工業パターンまでの相談だった。 素材は8号帆布(綿100%) 厚くて固い。バッグにする。 衣料には向いてない。 大量の糊がついた状態で仕上がってきます。 依頼にこられた時に見せていただいたサンプルは、一般の家庭用ミシンで試行錯誤し縫われていたもので。 自分が10代のとき専門学校にいきたての夏休みとかに無理やり、 何本も針を折りながら縫った記憶とも重なり。 なんか協力したいと思い協力させていただいた。 生地に対して使う針の選び方から。おそらく16番の針か18番くらいが妥当だろう。糸は30番手。 パターンの修正も工業用に変更していかないとならない、今のサンプルから見た感じではこの素材にしては重なる箇所が多すぎて。。。 ここは、何枚重なってるのだろう? 6枚?   これは、針が折れるな。。。 とかなんとか。できるだけ、 デザインの変更にならないような縫製仕様を意識しながら修正してくのが工業パターンを作る上での最低限のルールだ。 デジタル化の増えていくこの業界だけれど、最終的に製品を組み立てるのは人間の手。 どんなに精工な計算で作られたパターンであろうと、組み立ては人間の手。 幸い、この素材は熱で縮むなどの伸縮に関しての問題はないもの。 いつもは、生地のアイロンテストをして縦横の縮率を割り出してくものなのだが。 あきらかに固く、ごわごわの生地なんで縦横の縮率0%。問題なく、裁断に入れる。 量産の裁断は、生地を重ねて裁断機などで何枚もまとめて切るのが通常。 だけど特に設備もない現状、あるのはハサミとロータリーカッターくらいのもの。 選んだのは、ロータリーカッターでの裁断。 男性なら、5枚は重ねて裁断できます。 ストラップなどの細かいベ

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フィギュア衣装-2

知れば知るほど。その仕事が好きになりません? 僕はといえば、フィギュアスケートについて考え直してみようと思った。 固定概念、洋服作りに対して長年の自分なりの考え方を一回リセットした方が良い。 衣装製作に既製服で得た凝り固まった考え方が足かせになるんじゃ無いかな?と、仕事に入る前の選手の女の子、コーチ、選手のお母さんとの何気なく交わす会話だとか、自分なりにネットから得た情報とか踏まえた上で 最もな方法があると思った。 あくまでも、衣装は競技の付属品で選手の演技、表現を際立たせる為のもの。決して、主役では無い。 ファッションショーや、展示会に出すものとは全く別の領域のものだ。 表現の主体が衣装では無い。 早速仮縫いの場面で思い違いが訪れた。 〜仮縫い→シーチングで〜 現物は、伸縮性の良く効いた素材なんでまるで確認作業は出来ない。装飾に使うモチーフをつけてみたが、全く雰囲気を確認できず。 直接、モデルの体に布を当ててやってみることになった。 〜シーチングで組んだトワル〜 結局は、体に当てて ただただ窮屈でしか無い、伸縮性の良く効いた素材で仮縫いし無いと。 ちょっと冷静に考えたら、時間をかけない最短の道で行くなら…。 と言うわけで、パワーネットと言う素材で仮縫いを再開して最初に組んだのがバッグスタイル。    選手とコーチは揃って、バッグスタイルを強調してました。よくよく調べてみたらやはり、フィギュアスケート衣装にとってバッグスタイルは、前から見たスタイル以上に重要視されると言っても過言では無いとわかりました。 フィギュアスケートはバッククロスという滑り方、後ろ向きで滑るテレビの中継とかでも良く見られる感じね。 故に背中は大事なポイントです。 背中からお尻の中心に掛けてのV字のライン。 これも重要な線になるので、そのへんを踏まえて   スカート丈は、後ほど修正するとしてシーチングでやるより、遥かに。 そして、前はそれとなくドレープ感があれば良いらしく   どうにか、二度目の試着の支度ができたかな。というところで。 しかし、このパワーネットの特性をいかす縫い方でないとならない。 今のところ、道具は限られいて布帛を縫う為の普通ミシンとロックミシンの。これだけ。 ニット系の素材を縫うには、ロックミシンは良しとして、地縫いは出来れば伸縮についてくる丈夫な縫いと糸。 今回はもう一台

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フィギュアスケートの衣装-1

僕はといえば、あいも変わらず。 縫製とかデザインとかのご相談を仕事にしている。 今年の1月に、6歳の男の子の依頼を受けた時。それは、特に違和感なく既製服に少し派手さがある程度かなって。すぐに作る事ができた。 半信半疑の納品。「こんなんで大丈夫なのか?」 作業場の床に置いてたときは、ただの衣装。 既製服と大きく違ったのは、よくストレッチの効いた素材。 お母さんだとかコーチには、感謝の言葉を頂けて職人冥利につきるとこですが、創作者の目からはずっと半信半疑だった。 この画像をもらえるまではね。 氷上は、普段見えている世界とは別世界なんだと認識できた。リハーサルとは言えこんな小さな子に着せた衣装だが、作業場にある時とは別物。 色の見えかたから、布の動きかたからね。 この依頼をしていただいたコーチには、僕とは違った視線で見ていたのだと。 時折、時間が合えばリンクに行って彼らのレッスンを見させてもらったりするようになった。 衣装が喜ばれるのは嬉しい。 それ以上に、縫製という技術を軸に知らない世界を知れることが、それ以上に幸福を感じている。

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