ハイブランドをモノとして文化として知ってほしい

なんでハイブランドはこんなに高額なの?と思っている人は少なくはないと思います。

ユナイテッドアローズやビームスあたりの価格帯はなんとなくコスト的なものを考えても妥当な価格なんだろうと納得できるものかと思います。

私の前職では、国内の縫製工場のコスト計算やお見積りの分野で関わりお仕事もさせてもらっていた時期もありますので、細かく説明もできるのですが、その辺は今回は割愛させていただきます。

で、ハイブランドは洋服好きな人は勿論憧れのものとかありますし、洋服はそこそこであれば良いと思っている人にも、すごく高価なものだということはご存知だとは思います。

40万もするコート?ジャケット?とか、0が一つ多いんですよね(笑)

そもそも、どこにコストがこんなにかかっているいるんですか?

ですよね。

ハイブランドのデザインとは

マルタン・マルジェラというデザイナーはご存知でしょうか?

経歴で有名なところで、エルメスのデザイナーを過去に経験している方です。

エルメスのデザイナーを経験しているというので有名な方で、クリフトフ・ルメールという方がいます。ユニクロとのコラボで日本人にも馴染みのある名かと。

Future LifeWear Essentials~Uniqlo U

細部までこだわり抜いた、革新的な素材づかいとコンテンポラリーなシルエット。
シンプルでいて、“今”を感じさせる上質なワードローブ。
パリを拠点とするアーティスティック・ディレクターのクリストフ・ルメールは、
Uniqlo Uをより機能的で洗練されたLifeWearへとアップデートさせていきます。WOMEN

ルイヴィトン、セリーヌ、フェンディー、ディオール、エルメスとこれらのフランスの代表するブランドがありますが、

これらが、じつは価格帯でエルメスだけ頭一つ飛び出てるんですよよね。とんがってるんです。

お財布など買いにいった経験のある方ならわかるかと思いますが、エルメスとんがってるんです。

なぜかというと、ルイヴィトンやディオールのようなラグジュアリーブランドと比べて、エルメスって職人気質のブランドなんです。

LVMHというハイブランドを束ねているグループがあるのですが、

この大資本の買収劇に対抗し続けたのがエルメス。

自分たちの作りたいものを追求し続けたブランドで、デザインに対しての考えたも価格もとんがっているのですが、

このブランドのデザイナーを経験してるとうことは、大変名誉なことで、

過去にここのデザイナーを経験している人には、ジャンポール・ゴルチェhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%EF%BC%9D%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%82%B4%E3%83%AB%E3%83%81%E3%82%A8

先にもかいた、マルタン・マルジェラ、クリフトフ・ルメールと服飾史の教科書に載るような人たちがこのブランドのデザイナーを経験してきています。

エルメスのデザイナーを経験してきたとうことは、世界中のデザイナーの中でもトップクラスのデザイナーだと言っても間違えないでしょう。

もし、年代別で代表的な功績をのこしたデザイナーをあげていくとするのなら、

  • 70年代 ピエールカルダン
  • 80年代 川久保 玲
  • 90年代 マルタン・マルジェラ
  • 00年代 エディー・スリマン

90年代はマルジェラの時代であったと言っても過言ではないのですが、彼の得意なデザインにデコントラクション(脱構築)。

どういうものかというと、もともとある基本的な構造のものを破壊して、あらたな構築をしていくとうことなんですが。

どういう風に服にこの要素を組み込んでいるのかというと。

例えばの例で、洋服よくよく見てみると裏返しの状態で仕立てられているとかです。

服を組み立てる、パーツを縫い合わせている縫代が本来なら内側に隠れて見えない状態が普通なんですが、

あえて裏返される、本来なら間違えて作られたのでは?という事柄をデザインとして使う。

インサイドアウトという手法です。

誰もが知る伝統的な普遍的なデザインのアイテムにこの手法を用いる。

この裏返しされたデザインを最初に発表したのが、ジャンポール・ゴルチェ。

マルジェラの師匠になるんですね。じつは。

で、こんなへんてこなことをしてどんな効果があるのか?ですよね。

こうする事で、「くずし」になるんですね。

伝統的な服に僅かに取り込むこのエッセンスが

入ることで「崩しのデザイン」になる。これが、インサイドアウトの主たる目的だと思います。

完璧と言われる、定番のアイテムを崩して新しく構築していく事にこのデザインの要素がある訳なんですが、

何故、完璧な物として作らないのか?と思うかも知れませんね。

洋服というのは、完璧ではダメなんです。

元グッチのデザイナーをしていた。トム・フォードという方も語っていましたが、

完璧なドレスライクなスタイルをするじゃないですか。ですが、その完璧なスタイルには、色気が出ない。

ネクタイを外すとき、完璧なスタイルは崩れるじやないですか、

僅かな崩れる瞬間に色気があると彼は語ってました。

「完璧なスタイルを際立たせるには、僅かな崩しが無ければならない。」と。

完璧とは「不完全性」の中にこそ存在する。

ギャップ萌えってあるじゃないですか。あれと同義です。

完璧な人がちょっとドジしちゃったりするのあるじゃないですか。

そういう瞬間にドキッとする。あれです。

既存の価値を破壊し、新たな価値を創造するのがファッションデザインの本質。

大概のメンズコレクションをこういう視点で見ると腑に落ちるかと思います。

完璧なド定番のスタイル。

例えば、テーラードのスーツにシャツを入れ、靴が革靴。

これに、インサイドアウトのような手法や崩れたシルエットなど、僅かな崩しを入れることでデザインを完成させてきている。

これがトレンドを作っているのですね。

ただ、でたらめにやっているわけでは無いです。

「でたらめ」と「くずし」は似て非なるもの。

基本中の基本を熟知しているがこそ、いかにして崩して新たな美しさを持たせるかということです。

ただのでたらめな服でないというのは、実際に袖を通してみればわかるとは思います。

歴史的なオーソドックスに僅かなエッセンスが加わっている。だから、説得力があるはずです。

つまり、ハイブランドのデザインをしている人というは、きちんとしたベースがあるんです。

アレキサンダー・マックイーンというとても前衛的なデザインをして有名だったデザイナーがいます。

彼のデザインは、ドクロマークとかを使ってみたりと。ですが、出身はサビルローで修行してきた経歴のあるデザイナーです。

日本でいう、着物を作っている老舗長年修行をしてきたようなことです。

なので、テーラードのデザインは抜群に綺麗なものを作られます。

そういう、伝統的な服を熟知してきた人間が絶妙なさじ加減でデザインの足し算引き算をしていくんです。

ハイブランドというのは。

ハイブランドのデザイナーは、めちゃめちゃオーセンティックな服を勉強してきてるんです。

「なぜこういうデザインがあるのか?」

「なぜこういう服があるのか?」

彼らは、哲学的な域まで落とし込んでデザインすべきものを見出していくんです。

ただの布と糸でできているにと言えばそれまでなのかもの知れませんが、

そのデザインを作るまでには想像を絶するほどに考え抜かれ作られてくわけなんです。

20年先30年先いや、100年先デザインとはどうあるべきなのか?ということまで考え抜いているものなんです。

その価値に対してお金を払えるか払えないか?なんですね。

例えばですが、本。

紙とインクでできていますよね。原価で考えればほんと僅かじゃないですか。

2000円くらいするものもありますよね。でも、買う。

いくら原材料費に対して利益がのせられているのか?というものですが。

それと、同じくらい。いや、原料をつくる大変さを考えたら布をつくるのも大変だからこちらの方がそうでもないかとは思いますが。

リテラシーの違い、文化の違いなのかと思います。

より良い文化に適正なお金を払うことが正しいことだとは思いますが。

これは、大いに気づいてほしいことなんですが、

こういうものが、文化として実際に存在するということを踏まえて、

ハイブランドというものがこういうものなんだということを少しでも知るということで、ユニクロなどの本当の意味での良さをよく理解できるのではないでしょうか。

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