先日1年売れなかった1,500円のピアスが売れた話をした。
その出来事は、ただの“売れた”じゃなくて、
僕にとっては“生き方を見直すきっかけ”になった。
購入者さんから届いた
「気に入ったものを購入できて良かったです」
という一言。
たったそれだけなのに、胸の奥がじんわり熱くなった。
でも、その余韻の中で、もうひとつ大きな気づきがあった。
ポンコツならポンコツなりに、生き延びるためにやるしかない
僕はずっと、
「作ったものに価値を持たせる」
ことばかり考えていた。
フィギュアスケートの衣装制作をしているから、
技術を磨くことが正義だと思っていた。
でも怪我で少し休んだ期間、
売上はゼロになった。
その瞬間、気づいた。
「あ、俺は完全に労働集約型の働き方をしていたんだ」
ミシンを踏まなければ売上がない。
動けなければ収入が止まる。
月末の支払いを考えるたびに、
変な汗が出る。
これはもう、
“技術者としての誇り”とか言ってる場合じゃない。
生き延びるために、仕組みを変えなきゃいけない。
作ったものに価値をつけるだけじゃなく、
「作る技術そのもの」に価値をつけるという発想
スマホを片手にAIと会話も日課になりつつある。そんな時、AIがヒントをくれた。
「作る技術や知恵そのものに価値を持たせたらどうですか?」
正直、ハッとした。
僕はずっと、
“完成品”にしか価値をつけてこなかった。
でも、
- デザインの考え方
- 生地の選び方
- フィギュア衣装の構造
- 体型に合わせた補正の知識
- 写真の見せ方
- 商品の魅せ方
- 仕入れの目利き
これらは全部、
僕にしかできない「技術」や「知恵」だった。
そしてそれは、
“売れる仕組み”に変えられる可能性がある。
さて、どうやって「技術」を売上の柱に育てるか
ここからが、ポンコツから一皮剥けるために頑張りの腕の見せどころだ。
- 教材にするのか
- ワークショップにするのか
- コンサルにするのか
- デザインの知識を商品化するのか
- 衣装制作の裏側をコンテンツにするのか
答えはまだ出ていない。
でも、
「技術を売る」という選択肢を持てたことが、すでに大きな一歩だ。
ミシンを踏むだけが仕事じゃない。
“未来の自分を楽にする仕組み”を作るのも仕事だ。
そして最近年齢も重ねてきて思うのは、後世に残すこと伝えることがあるんじゃないかと。
毎月末に変な汗をかかなくて済むように、俺はなる
俺はなる。
ピアスが売れたことよりも、
その後に訪れたこの“気づき”の方が、
僕にとっては大きかった。
ポンコツならポンコツなりに、
泥臭くても、
格好悪くても、
生き延びるためにできることを全部やる。
未来の僕がこの記事を読み返した時、
きっとこう言うはずだ。
「あの時が、変わるきっかけだったな」
そう思えるように、今日もまた進む。
ポンコツなりに、泥臭くても前に進むしかない。
そんな僕の気づきのきっかけになったピアスたちも、もしよければ覗いてみてください。
Wearable Art(ウェアラブルアート)。それは、単なる衣装を超え、身体と精神を包み込む芸術である。」 イントロダクション:衣服は「第二の皮膚」である 30年間、私は布と向き合い、数えきれないほどの「身体」を包んできた。 私にとって衣装制作とは、単なる裁縫ではない。 それは、アスリートの肉体という現実と、音楽が描く幻想を繋ぐ「第二の皮膚」を創造する儀式だ。 今回の作品「Fire & Ice」は、その哲学を最も純粋な形で具現化した一着である。 コンセプト:静寂の青と、熱狂の赤 「氷」は静止した死の世界ではない。それは、爆発的なエネルギーを内側に封じ込めた、極限の緊張状態だ。 一方で「炎」は、すべてを焼き尽くす破壊の象徴でありながら、生命の躍動そのものである。 この相反する二つのエレメントが、一人のスケーターの肉体の上で衝突したとき、何が起きるのか? 私はこの一着に、冷徹なまでの技術(Ice)と、抑えきれない表現への情熱(Fire)の「均衡点」を求めた。 制作のフィルター:30年の経験が導き出す「必然」 デザイン画を引くとき、私のフィルターは瞬時に計算を始める。 「この炎の曲線は、腕を上げたときにリンクの照明をどう反射するか?」 「この氷の結晶のようなストーン配置は、ジャンプの回転速度を視覚的にどう増幅させるか?」 ウェアラブルアートには、機能という名の「制約」がある。 しかし、その制約こそが、アートを完成させる。 動きを妨げない構造、極限まで削ぎ落とされた重量、そして30m先からでも観客の心臓を射抜く視覚的強度。 「求められるがまま」に応えてきた私の歴史は、どんな難題もアートへと変換する「翻訳の歴史」でもあった。 結びに代えて:世界へ届ける一着 私が創るのは、ただの「服」ではない。 リンクに立つ一瞬、スケーターが「自分は誰であるか」を証明するための武装だ。 日本の札幌、清田区真栄のアトリエから。 私はこれからも、境界線を超え、世界中のリンクを震わせる「着る芸術」を創り続ける。 「こんなこと相談していいのかな?」という小さな疑問や不安でも、 どうぞお気軽にご連絡ください。 お問い合わせフォームから相談する LINEで気軽に相談する アトリエ来店相談ご希望の方は予約制で承っております。新規の制作ではなく今使われている衣装、コスチュームのアップグレードのご相
フィギュアスケートの練習用手袋 一組に、職人の誇りを込めて。 先日、いつも衣装を任せていただいているお客様から、フィギュアスケートの練習用手袋のオーダーをいただきました。 「市販の安価なものでも十分」という声もあるかもしれません。 それでもあえて私にオーダーをくださること。そこには、お子様の頑張りを一番近くで支えたいという、親御さんの深い愛情があることを私は知っています。 動画にある通り、練習用だからといって工程を省くことはありません。 指先のフィット感、激しい動きに耐える補強。30年間、一針一針縫い続けてきた経験のすべてを、この小さな手袋にも注ぎ込みました。 それは、リンクに立った瞬間に背筋が伸びるような感覚。 「自分は大切に作られたものを身につけている」という自信。 その小さな心の変化が、厳しい練習を乗り越える力になると信じているからです。 どこに届けるものであっても、私の手から生まれる一針に変わりはありません。 衣装の合間の小さな仕事ですが、私にとっては、未来のメダリストを支える大切な一仕事です。 オーダーは、特別な人だけのものではありません。 「ちょっと困っている」「少し不便を感じている」——そんな小さな違和感からでも、相談して大丈夫です。 「こんなことお願いしていいのかな?」と思うことこそ、聞かせてほしいことです。 あなたの生活や、大切な一瞬を支える一着を、一枚を。 一緒に考えていけたら嬉しいです。 リモートでも相談は可能です。 「こんなこと相談していいのかな?」という小さな疑問や不安でも、 どうぞお気軽にご連絡ください。 お問い合わせフォームから相談する LINEで気軽に相談する アトリエご来店希望の方。要予約になりますが、お問い合わせください。 過去作品はこちらからご覧ください。
美しき「余白」を纏うということ 「フリル」という言葉に、あなたはどんな情景を重ねるでしょうか。 甘く、可愛らしく、どこか幼い……。 もし、そんな既成概念があなたの中にあるのなら、この一着がその記憶を静かに、けれど鮮やかに塗り替えるかもしれません。 今回ご紹介するのは、漆黒の対極に位置する「雪白(せっぱく)」のフリルロングシャツ。 それは、古いモノクロ映画のワンシーンのようなノスタルジーと、どこか退廃的な色気を孕んだ、一着の「物語」です。 なぜ、衣装デザイナーである私がこのシャツをセレクトしたのか。そこには、性別や時代を超えて愛される「退廃美」への深い敬意があります。 少年性と退廃の同居。男が纏う、静かなる独白 「フリルシャツを纏う男」と聞いて思い浮かべるのは、かつてのロックスターや、19世紀の詩人のような、性別を超えた中性的な美しさではないでしょうか。 このシャツは、ユニセックス仕様のフリーサイズ。男性が袖を通せば、肩のラインから流れるたっぷりとした生地が、身体の線を優美に、そしてミステリアスに強調します。 「完璧すぎない」ことの美学 まじりけのない雪白のカラーは、清潔感がある一方で、どこか「未完成」な危うさを感じさせます。 あえて着古したデニムや、少し使い古したレザーブーツと合わせてみてください。 「整いすぎない」着こなしが、かえって古き良き時代のノスタルジーを呼び起こし、日常の中に非日常の隙間を作ります。 それは、都会の喧騒の中で、自分だけの静かな時間を守り抜くための「日常着としての衣装」なのです。 ガーリーを卒業した、大人のための「雪白」 女性にとっての白フリルは、時として「可愛らしさ」が勝ちすぎてしまうもの。しかし、このシャツが目指したのは、その先にある**「退廃的なエレガンス」**です。 光と影が作る造形美 胸元から裾へと続くフリルは、単なる装飾ではなく「光と影を操るための造形」です。 フリルそのものが作る複雑な陰影が、雪白の生地に奥行きを与え、甘さを削ぎ落としたモードな表情を作り出します。 先日ご紹介した「Golden Wings(黄金の翼)」のような、大ぶりでエッジの効いたゴールドピアスを耳元に置けば、神々しくもどこか危うい、大人の退廃美が完成します。 ガーリーなフリルに飽きた貴女にこそ、この「毒」を含んだ白を纏ってほしいのです。 衣装デザイナーの視