はじまりは、お客様が大切にされてきた「一枚の古いブラウス」
お客様からご相談いただいたのは、かつて深く愛用されていた一枚のノースリーブブラウスでした。
デザインはとても気に入っているけれど、ずいぶん昔のもので古くなってしまっている。
けれど、既製品のお店を探しても、色違いはおろか同じものはどこにも売っていない。
日常の中で誰もが経験するような、けれど諦めきれない小さくて切実な想い。そこから今回の仕立ての物語が始まりました。
「引き算」と「足し算」で、今の自分にフィットさせる
元の服をただそのまま再現する(コピーする)のではなく、「今の自分が一番心地よく、美しくいられる形」へアップデートしていくのが、当アトリエのスタイルです。お客様との対話の中で、いくつかの理想を形にしていきました。
- 【袖の足し算】: 元々はノースリーブだったデザインに、「袖があると着やすいかな」というご希望をプラス。全体のバランスを崩さない、気品ある長袖へとアレンジしました

- 【素材の引き算とアップデート】: 元の製品はポリエステル(化学繊維)でしたが、「肌に心地いい天然素材にできたら」という想いを受け、上質な綿麻のネイビー生地をご提案。袖を通した瞬間にホッとするような、豊かな質感へと生まれ変わらせました。
- 【サイズ感の微調整】: 過去のサイズに縛られず、今の体型や身のこなしに合わせて細かくサイジングを調整。締め付けないのに、驚くほどすっきりと洗練されて見える、お客様のためだけのシルエットを導き出しました。
アトリエで命を吹き込む瞬間
デザインが決まり、アトリエでの孤独で、けれど高揚感に満ちた制作が始まります。
動画にあるように、深いネイビーの生地をミリ単位で折り込み、息をのむほど美しいバックプリーツ(ひだ)を仕立てていく時間
そしてフロントの立体的なインタックを美しく整えていく手元。
かつてお客様が愛した「あのブラウス」の面影を残しながら、まったく新しい「世界にひとつの wearable art(着るアート)」として命が宿っていく瞬間です。
日常を新しく彩る、新しい「一生物」の完成
こうして完成したのが、今回仕立てさせていただいたtablier・シャツです。
前を向いているときは、フロントのインタックが凛とした大人の表情を作り出し、一歩歩き出せば、背中の贅沢なプリーツが風をはらんでドラマチックな陰影を生み出します。
袖口のクラシックなボタンひとつに至るまで、職人の手仕事が息づいています。
「激しい欲望ではないけれど、お気に入りの服を、今の自分に合わせて心地よく、もっと美しく着こなしたい」
その静かな想いに寄り添い、技術のすべてを注ぎ込んで仕立てる。それこそが、私たちが目指す「Lust for beautiful life」の形です。
tablier様、素敵なオーダーをいただき、本当にありがとうございました。
この一着が、これからの日々にたくさんの美しい景色を運んでくれますように。




最後に
オーダーは、特別な人だけのものではありません。
「ちょっと困っている」「少し不便を感じている」——そんな小さな違和感からでも、相談して大丈夫です。
「こんなことお願いしていいのかな?」と思うことこそ、聞かせてほしいことです。
あなたの生活や、大切な一瞬を支える一着を、
一緒に考えていけたら嬉しいです。リモートでの対応も可能です。
「こんなこと相談していいのかな?」という小さな疑問や不安でも、
どうぞお気軽にご連絡ください。
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