ザ・トゥルーコスト「華やかなファッション業界の裏側」

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two women posing for pictorial

これは衣服に関する物語で、

私たちが着る服や衣服をつくる人々、

そしてアパレル産業が世界に与える影響の物語だ。


これは貪欲さと恐怖、そして権力と貧困の物語でもある。


全世界へと広がっている複雑な問題だが、

私たちが普段身に着けている服についてのシンプルな物語です。

この数十年、服の価格が低下する一方で、

人や環境が支払う代償は劇的に上昇してきた。

「服に対して本当のコストを支払っているのは誰か?」という問題を提起する、

ファッション業界の闇に焦点を当てたこれまでになかったドキュメンタリー映画。

2015年に出た映画ですが、

今の現状のファストファッション業界の問題、現在どんなことが起こっているのか

簡単に説明させていただきます。

ファストファッションの仕組み

洋服の値段って、若いころに比べてすごく安くなってると思いません?

10年以上前、もっと高かった気がしません?

今なら、1000~2000円でもそれなりの物が買えちゃったりしますよね。

ファストファッションの登場以来、洋服の価値が大きく変わってしまいました。

これまでのファッション業界のシーズンは、

春夏秋冬の4シーズンだったのに対して、

ファストファッション業界は、毎週=52シーズン。

毎週新しい製品が売られていきます。

そして、安い物Tシャツとかで500円とかあったり、

高くても10000円くらいですよね。

普通に考えて、日本国内の人件費ではどうやっても作るのは不可能。

日本で今流通している洋服の95~97%は輸入品です。

ほとんどは、発展途上国で作られています。

現場は、過酷な価格競争にさらされています。

例えば、ジーンズが2000円でA社が発売したとします。

B社は1900円で発売、

C社は1800円。

と、どんどん各社は価格を下げようと競うのです。

その値下げしたしわ寄せは、外注先の工場にいくわけですね。

コストダウンを迫られた工場はたいてい零細企業ですので、

「あなたの工場で受けられないのなら、ほかの工場を探しますよ。」

みたいな、

「代わりはどこにでもいますよ。」みたいな対応になるわけです。

仕事を得るためには、悪い条件でも飲み込まなければならない。

それが、たとえそこで働く労働者の搾取であるとわかっていても。

日給=2ドル(200円)

発展途上国で働く労働者には、このような事実は数多く存在します。

つまり、

辛い労働の上に安いファストファッションは成り立っています。

ラナ・プラザ崩落事故と人権問題

2013年4月24日

バングラデシュの首都ダッカの縫製工場で、

大規模な倒壊事故がありました。

「ラナ・プラザ崩落事故」です。

ラナ・プラザ崩落事故(ダッカ近郊ビル崩落事故)とは・意味 | 世界のソーシャルグッドなアイデアマガジン | IDEAS FOR GOOD
ラナ・プラザ崩落事故とは? ラナ・プラザ崩落事故(ダッカ近郊ビル崩落事故)は、2013年4月24日にバングラデ

この事故で、

死者1000名超

負傷者2500名超

原因は建物の老朽化、そしてその建物に違法に置かれていた発電機の振動と言われています。

ですが、この事故以前にここの従業員たちはすでに

ビルの亀裂を報告していたそうです。

ですが、上の人達から

「働きに来ないのならクビ。」

と言われていたので、来ないわけにはいかず

事故に巻き込まれたのです。

安全管理を怠り、利益だけを追求して

過酷な労働をさせ続けた企業が招いた

ファッション業界史上最悪の事故

この事故のあとの衣服業界の売り上げは過去最高の

3兆ドルとなりました。

なぜ、莫大な売り上げ、利益がある中で多くの人の命が失わならければならなかったのでしょう。

世界の衣服の工場で働く人は、約4000万人。

そのうちの400万人はバングラデシュで働いていています。

自分は一生着ることはないだろう服を先進国のために作っています。

労働者の85%は女性。

過酷な長時間労働では、子供の面倒をみることが難しいので、

親戚や家族に預けなければならない。

なんでそんなにしてまで働くのというと、

自分の子供に良い教育を受けさせて、

良い未来を作ってほしいからです。

年に1回か2回ほどしか会えないほどとも聞きます。

コットン栽培の裏側

大半の服は、綿花からできる繊維でできていますよね。

ファッション業界がファストファッションへとシフトしていくと同時に、

綿花の栽培背景もシフトしていきました。

4シーズンしかなかったものが52シーズンになったがため、

このシーズン分の綿花を栽培しなければならない。

洋服の消費量そのものが、昔より4倍以上に増えているそうです。

ちなみに、コットンを1kg作るのに、

20000ℓの水が必要で、

1kgのコットンからできる洋服は、Tシャツ1枚とジーンズ1本だけなんです。

洋服って実は、資源をすごく必要とするんです。

コットンは植物なので、栽培できる量って決まっているじゃないですか。

なので、自然の説にのっとっていたら、

今の需要に対して、安定した供給をできないので、

強い化学肥料が使われるようになりました。

でも、その土地原産の植物は強い化学肥料に耐えられないのです。

そこで何が生まれたかというと、

遺伝子組み換えの綿花。

それからできたコットンが売られるようになりました。

Btコットンというのがあるのですが、

自力で害虫を駆除する、強い化学肥料にも耐えられるという名目で作られてたのですが、

効率化をはかるために、畑に飛行機で一斉に薬を撒く。

そうすると土壌汚染になるんです。

そうするとその土地の生態系も崩れていくのです。

そういうことが、多くの国で普通になっていったのです。

Btコットンは、ある企業が特許をとり独占販売されています。

なのでそこの企業から買うしかない。

需要に間に合わせるため供給をしなければならないので、

でもその種子の値段は、普通のコットンの値段の170倍。

なので、農家は借金をしなければならない。

にもかかわらず、

このBtコットンの効き目は、ほぼない。。。

(虫も進化します)

殺虫効果は薄いものなので、殺虫剤は必要になる。

種子も高いし、殺虫剤代もかさむので、

雪だるま式に借金はかさんできます。

借金地獄です。。

でも収穫量は、土壌汚染の影響もあり低下するという負のスパイラル。

負債が増えて、土地を差し押さえられた農家の労働者たちは

絶望し、自分の畑で殺虫剤を飲んで自殺してしまう。

自殺者が続出するケースが非常に増えていました。

1999年からの16年間でインドの農業従事者の約25万人。

30分に1人が、自殺していた。

歴史上最悪の自殺率です。

遠い昔ではなく、現代のことです。

綿花の栽培地、インド・パンジャブ地方では

先天性欠損

精神病

の患者がすごく増えたそうで、働く医師が何百人もガンで苦しむ人を見るようになり、

ひとつの村に、60~70人もの子供たちが障害を持って生まれるようになりました。

でも、地域の農家は資金がないので治療をうけることができない。

なので、農家の人たちはわが子が苦しんで死んでいくのをただただ待つしかない。

そんな状況になっているのです。

この映画では、

遺伝子組み換えの作物を作っている会社、

化学肥料を作っている会社、

癌の治療薬を作っている会社、

これらが全部一緒の会社でした。

もちろん、その会社は否定していますが。

つまり、

人が癌になったら儲かる仕組みがあった。

搾取の仕組み。

環境問題~革製品による環境汚染と健康被害

コットンの栽培でも、土壌汚染、生態系破壊の被害は知ったと思いますが、

同じくインドのガンジス川のほとりにあるカンプールという地方でも

大規模な環境汚染に伴う健康被害がおきていて、

このカンプールという地方は革製品の輸出の盛んな地域で、

ファストファッションの影響で、安い革製品の需要がどんどん増えて、

皮を染めるために使われる強い化学物質(クロミニウム)の含んだ汚水が、

毎日5000万リットルも流れ出ていて、

ガンジス川というのは、インド人8億人のヒンドゥー教徒にとって

非常に重要なもので、北インドの人々のライフラインになってます。

川の水で、農業・生活・祈り様々なことにつかわれる。

すでに、唯一の飲み水であった地下水ですら汚染されているのです。

地域全体でどの村も、何十人もの

皮膚病

腫物

発疹

四肢の麻痺

消火器疾患

を患った人がいます。

「クロミニウム」という化学薬品が肝機能を弱らせるので、

地域に住んでいる人の90%が貧血になっています。

こういうとこで作られた革製品がショップで売られているわけなんですが。

ファストファッションの影響

自分が買った商品が、

どこでどんな環境でできてきたのか考えもしないのではないでしょうか?

ファッション産業は、石油産業についで世界第二位の

環境に悪影響を出す産業と言われるようになりました。

今の消費経済下では、本来は長く使えるものを

(洋服)を消耗品にしようとしているのです。

着るかもわからないので買ったもの、

安いから一応買ったものってないです?

買える値段で売られているわけなんで。

ついつい買いますよね。

アメリカで、服の購入される量は20年前に比べて

4倍に膨らんでいるそうです。

1100万トン/1人あたり

毎年「37kg」廃棄されているそうです。

大体のゴミは200年分解されません。

そして、有毒ガスを発生し続けます。

大量生産

大量購入

大量廃棄

この構図は、世界の

人権

環境

健康

このすべてを脅かしている。

そして、この構図で一部の富裕層が巨万の富をえているのです。

ビジネスをしているのは、買ってくれる人がいるから儲かるわけです。

ですが、消費者側の私たちの意識を変えなくてはいけない状況にあると思うのですね。

2015年にこの映画が出た頃から人々に

サスティナブル

エシカル

の意識が芽生えてきたと思うんです。

ユニクロやZARAの世界的なファストファッションの会社は

サスティナブルな素材への取り組みであったり

プラスチック製品の包装の削減などに取り組んでいます。

また、パタゴニアなどのもともと環境意識の高いブランドの台頭も見られます。

ですが、今のコロナ禍で

バングラデシュとかで今まで作られてきた服が

数を減らされたり、企画が中止になったりと経済的に困窮しているという

ニュースも聞きます。

この経済的な被害は「ラナプラザの事故」以上だとも言われています。

一部の企業が改善に取り組んではいますが、

まだまだ多くの人が弱い立場にある人が困窮しているんです。

この映画に出てくる女性のコメントなんですが、

「誰も私たちほど過酷な状況で働いているのか知らない。」

「あなたたちの服は、私たちの血の上に成り立っている。」

「誰にも血でできた服なんて着て欲しくない。」

おわりに

もし、あなたがこのような構図の産業から服は買いたくないというなら

買わなければ良いわけですし、

消費者の私たちには選択肢はたくさんあります。

「服を長く着ること」

「アップサイクル」

「リサイクル素材」

「古着屋さんを利用する」

「エシカルなブランドから服を買う」

People tree

作り手の存在が見えるもの。

それを長く大切に着ること。

私たち消費者の意識で変えられること、

救えるものもあると思います。

「ザ・トゥルーコスト」気になったら是非にてみてください。

最後に少しだけ宣伝させてください。

作り手が見えるポップアップショップやらせていただきます。

2021/10/21(木)~27(水)

札幌東急百貨店2Fイベントスペース

Lust powered by BASE
Lust for beautiful life.

ご都合よろしければ、足を運んでみてください。

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