「俺デニムには、うるさいよ。」と言う人、「はき心地が良ければなんでも」という人も、多かれ少なかれ選びの拘りを持っているはず。
しかしながら、よくよく考えてみると、日々愛用のデニム選びの視点と言ったら、シルエット、加工、ブランドくらいのものか?そもそも、デニムという生地自体を知っていないことに気づかされませんか。
今回は、デニム選びに役に立つ「デニム生地」について調べてみました。いくつかのポイントを知ればデニム選びが今よりもっと面白くなっていくに違いないでしょう。
「オンス」とはよく聞きますますが、生地の厚さではない
雑誌や、店頭などでデニム生地に関する単位で「オンス」とききませんか?
「生地の厚さでしょ。」と思っている方も多いかと思いますが。
オンスとういうのは厚さではありません。デニム生地1平方ヤード(1ヤード=91.44cm)あたりの重さの単位です。
標準的なのは、13.5オンス(約382.7g)で、この起源となっているのが、ヴィンテージのリーバイス501XX。
今でも、多くのデニム生地メーカーの基準になっています。
オンスは重さの単位のことで、13.5オンスを基準に、数値の大小でライトかヘビーかを判断すれば良いです。大まかにです。
オンスの数値は低ければ軽量になる分風合いは損なわれ、高ければ風合いは生まれるけれど重くなる傾向になります。
厳密には使われる糸の番手(太さ)によっても風合いが異なるので、一概にはいえませんが。ある程度の判断の基準になるかと思います。
ボトム用で軽いもので10~11オンス、重いと14~15オンスがよく出回っています。
黄金比率「2%」
最近ではストレッチのきいているジーンズがあります。あれらは、コットン100%ではないです。
ポリウレタンという繊維との混紡になります。「Pu」の表記があるはずです。
ポリウレタン繊維の軸に綿繊維を巻き付けたストレッチ性を持つデニム糸を使った生地です。
「ポリウレタン2%」というのは、ストレッチ性とデニムの骨太な風合いの丁度良いバランスがとれる絶妙な混率。
混率が高すぎると、デニム特有の風合いが損なわれるうえに、少しレディースの雰囲気が強めになります。
クラッシュ加工などの際に横糸は擦れてゴムのように縮れてしまうこともあるんです。これでは、不格好。
ダメージ加工のことも考えられた最良のバランスが「2%」なんですね。
なので、手持ちのストレッチジーンズの表示の混率を見てみてください。ジーンズの骨太な風合いなのはきっと2%。
ちょっとストレッチ強めなのだと風合いを比べてみるのも面白いですよ。
デニムが良い風合いに育つか、将来をみたいなら生地裏面を見てみよう
生地の裏側を見ると、将来の大きな情報を得られるかもですよ。
どういうことかというと、古き良きヴィンテージの風合いをどこまで蘇らせるかのヴェインテージ派。ラグジュアリーブランドみたいにジーンズをどこまでクリーンに、エレガントに仕上げられるかというきれい目スタイリッシュ派。
ふたつの方向性のどちらを目指しているかは、横糸に表れることが間々あります。そして。横糸は裏側を見ればはっきりわかります。
横糸によって表現したい世界観は大きく違います。簡単に言うと、横糸に白綿を使ってデニムの表情を際立たせているのがヴィンテージ派。茶綿などを使って生地のトーンを落ち着かせているものが、スタイリッシュ派です。
写真を見たらわかると思いますが、裏側にはっきりと見える横糸は、表地にも顔を出して、表情に影響します。白綿だと、織り目の谷間に見える白っぽい糸が横糸。経糸のインディゴとコントラストし、荒々しく強い面構えになりますね。茶綿の横糸のほうだと縦糸のインディゴになじんで落ち着いた印象に映ります。裏側をみると、そのジーンズのデザインの意図を確認できるかもしれません。その目線でみるのも面白いですよ。
横糸の違いで、履きこんだ後の表情も変わります。
白綿の方はインディゴとのコントラストが強まります。結構はっきりした色落ちに。茶綿などのほうは、マイルドな色落ち感に。
よりヴィンテージ感を楽しむのであれば、白綿、よりマイルドでエレガントなら茶綿。
デニムにおける右派と左派。
生地の織に「右綾」「左綾」というものがあります。
生地の織の方向で風合いが異なります。その理由は糸の作り方が関係します。
糸には、左撚り(Z撚り)と右撚り(S撚り)があり、基本的には左撚りが主流。その場合、撚られた糸のZ字型と同様に、右上から左下に綾目が出る右綾たと糸の撚りが引き締まり硬くなり、逆方向の左綾だと撚りがゆるんでふっくらする、という特徴があるんです。
左綾のGジャンなんかは柔らかくて、オーバーサイジングに着るのならとても良い。
レディースなどではフワッとしたシルエットのデニムスカートを作る際に、左綾は優秀です。
生地としてのデニムを深く知ることで、もっとデニムが好きになるし、楽しくなる。
ちょっとの知識を頭の片隅によきデニムライフを!
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