
フィギュアスケートの衣装は、インターネットで気軽に購入できる時代になりました。
しかし「届いてみたらイメージと違った」「サイズや仕様が合わない」といった悩みも少なくありません。
今回ご相談いただいたのは、セパレートタイプだと思って購入した衣装が、実はワンピースタイプだったというケース。
「既製品をリメイクして、使いやすくアップデートしたい」というご要望から、衣装リフォームが始まりました。
今回のプログラム曲は 『鬼滅の刃〜遊郭編〜』。
その世界観を氷上で表現できるように、既製品を大胆にリメイクしていきます。
Table of Contents
衣装リフォームのポイント
1.機能性の改善
ワンピースタイプは男の子にとってトイレの問題があり、演技中も不便。
そこで解体し、新たにパンツを制作しました。
寒いリンクに対応できるよう、裏起毛の2WAYストレッチ素材を採用。
機能性と美しさのバランスを意識しました。
2.衣装アップデートで演技に集中
シャツの裾が演技中に動かないよう、パンツにインできる仕様へ変更。
さらにチュール裾を男の子らしくすっきり仕上げ、演技に集中できるデザインへアップデートしました。
3.装飾のリメイク
「もっとキラキラしたい!」という希望に応え、ラインストーンを追加。
オーロラ色やサファイア色を盛り込み、氷上で輝きを増しました。
さらに赤タッセルを加え、和の雰囲気を演出。
課題曲『鬼滅の刃〜遊郭編〜』の世界観に合う衣装へと進化しました。
作業工程
リフォーム前の状態です

ワンピースを解体しちゃいます
男の子にとってワンピースタイプはトイレ問題があり、
後ろファスナーを開けて用を足すのは10歳の子には少し大変。
そこでまずは解体からスタート。
ラインストーンが接ぎ位置に付いていて縫い直しは難しいため、思い切ってカット。
トリコットの2WAY素材はほつれにくいので、ギリギリの際で縫い代を付けて処理しました。
これも「衣装リフォーム」の現場ならではの工夫です。

新しくパンツを制作
切り離したパンツは使わず、新たに制作。裏起毛の2WAYストレッチを採用し、寒いリンクでも快適に。
ただし温かさだけを優先すると「美しさ」が損なわれるため、機能性と美のバランスを意識しました。
• ウエストゴム仕様(56〜61cm)
• ヒップ64cm
• 股下70cm(来年も着用できるよう長めに設定)
さらに左足腿から膝上にかけて、シャツとリンクする模様でストーンを配置。これが「衣装アップデート」のポイントです。


シャツの裾をリメイク
演技中にシャツが動いて集中できないのは困るため、
パンツにインできるようインナーを縫い付け。
股部分にはスナップボタンを付けて脱着可能にしました。


男の子らしい裾アップデート
チュール裾はメローロック仕様で波打つ仕上がり。
女の子なら可愛いですが、男の子には少し違和感。
そこでカットして二つ折り仕様に変更し、すっきりとした印象に。


装飾をアップデート
「もっとキラキラしたい!」という希望に応え、ラインストーンを追加。
オーロラ色とサファイア色を盛り込み、氷上で輝きを増しました。



赤タッセルで和の雰囲気をプラス
課題曲の世界観に合わせ、赤タッセルを追加。ブルー×白×ゴールド×黒の配色に「ひとつ赤を灯す」ことで、日本的な力強さを表現しました。
氷上で映えるアクセントです。

完成!衣装リフォームで新しい輝きを
最後にストーンをさらに追加し、キラキラを超えてギラギラに。
「インターネットで買ったけど既製品をリメイク」することで、オリジナルの世界観を持つ衣装にアップデートできました。
さて、この衣装を纏った彼がどんな演技を見せてくれるのか、とても楽しみです。

まとめ
• インターネット購入の既製品でも、リフォームやアップデートで理想の衣装に変えられる
• 機能性と美しさのバランスを意識することで、演技に集中できる衣装になる
• 装飾やデザインをリメイクすることで、プログラムの世界観を表現できる
氷上で輝くための衣装は、既製品をそのまま着るだけではなく、「衣装リフォーム」「衣装アップデート」いう選択肢があります。
あなたの演技を支える衣装作り、ぜひご相談ください。
2023シーズン履歴
親御さんのご好意により、大会当日の写真をいただきました。
ここに掲載させていただきます。


