プリーツスカートを量産した記憶

プリーツスカート、そろそろ人気も落ち着いただろうかと思うこの頃。7,8年前に僕は縫製工場勤務でプリーツスカートの量産に携わる機会があったときの経験からの話です。

サイズをできるだけ均一に、サイズ別にどうやって作られているのか?なんです。ウエストなど幅の寸法は、単純にプリーツの本数で分けられる。丈は?となると。基本的にプリーツ加工される製品は型紙でジャストな大きさで正裁断されることは、ほぼないです。丈に関してはほとんど切り落とし分をつけて一回目の裁断がされます。プリーツをかける、プリーツの折り目をつけるといったほうが理解しやすいかと思うけど、加工の際に熱が加えられるので、繊維が熱で収縮してしまう。だから、ぴったりに裁断してしまうと決めていた寸法に足りなくなってしまったりするので、丈で2cmくらいは余分につけておくと安心。裁断は意外とアナログです。精工にCADとかでプリーツの幅だとか計算して本数を決めたりパターンナーは指示を入れてはきますけど。生地は糸が織り合わさって組織になってできているもの。重力にとても素直なもの。縦糸、横糸をまっすぐに通すことを怠ってはいけない。どうするかというと、切りたいパーツの丈を決めたら生地幅なりに切り込みを入れて生地を裂くんですね。ビビ~っと。

そして、生地を吊るすのです。「ケン張り」する。と、裁断士は言うんだけど、正確な漢字はわかりません。ググっても出てこないよ。工場業界用語なんで。「ケン張り台」とかいうお手製のスライドできる台とかに裂いた生地を何十枚も吊っておく。2時間も吊っていると裂いたとこが、床に直角にまっすぐになってる。そして、そのまま台をスライドさせて床に平行にさせて裁断することになるんだけど、裁断したものの生地の地の目がわかるようにどこか横糸でも縦糸でもわかるような裁ち方をしてあげるのが、プリーツ加工場と上手く連携していけるかの重要なとこ。極端な話、裂いただけの四角いままで加工に入れたほうが良いものもあるのだから。しかしデザインものの場合、加工は楽にできるかもしれないが、そのあとの正裁断が地獄の難しさになることになる。なので、後からの正裁断のやり方まで想定して、加工と正裁断の効率の良い平均値になる形を決めるのが妥当だろう。

プリーツのパーツは基本的には、スカートでいうと裾、端の処理は済ませた状態で加工に入れるもの。加工されたものを後から処理するのは量産の場合ではちょっと考えにくい。ルイス始末(纏り縫い)が多い。

プリーツ加工がされてきたものを正裁断する方法は?というと基本、手裁断です。一枚づつゲージを用意して切ったりプリーツの種類によって考えられますが、オートメーションだとか機械化とかは、ほぼ不可能に近いと。

プリーツといっても、何通りか種類はあります。代表的というか結構なじみのあるところでいうと学生の制服のスカート。クルマひだのプリーツ、これは同一方向にヒダがながれているものです。パーツどおしを接ぎ合わせるときは、プリーツの谷と谷の線を縫い合わせるのが一般的。縫い合わせた後に余分についている分を切り落とす。接ぎあわせたところはヒダの奥に隠れるので自然につながっているようにみえる。

アコーディオンプリーツというものもある。字のごとく楽器のアコーディオンのギザギザのところみたいな形状のやつです。加工に出すやり方は、さっき書いたやり方。

でも正裁断のしかたが違う。畳んだとき、床に平らにおけるものではない。扇子を畳んだ状態のようなものなので、裾始末された裾を持って長さを揃える。床に垂直に持ってタワミのでないようにする。そのままま、そっと置き決めていた長さになるよう作業台に目印をいれておくと、いちいち物差しとかで計らないでも済むので、その印を目安にロータリーカッターとかで切り落とす。裾からあわせて、タワミをとる作業をする際に気が付くと思うが、結構長さが揃っていないものだ。やはり、素材は繊維だから紙を折っているのとはわけが違うものだなと。現場でみる現状で知るものである。同じ素材でも、色によって加工後の縮率も違うのも出てくる。アコーディオンプリーツもこのように、一つ一つ手で裁断し微調整がなされていくもの。

接ぎ合わせは、車ヒダの場合と一緒でプリーツの谷と谷で縫い合わせる。

代表的なプリーツを二種の工程を話したけど、現場を見て思うのは何十年経っても作業の殆どが手作業であるということ。以前、若い友人に言われたことがある。「今の服って、生地を機械に入れたらほぼほぼ出来上がってくるものなんだよね?」って。

「全然だよ。」

型紙作り、裁断までは機械化が進んで効率的になっては来たのだけど。組み立てるのは人間の手ですから、要所要所には人の手、人の経験からの判断で出来上がってく術が左右されるもの。

一点の素晴らしい商品を作るのは素晴らしい事だと思う。

でも、その素晴らしい一点を多くの人に届ける為に、このアパレル業界の底辺なる人達が決して表舞台では知られることも殆ど無いだろう知恵と技術を日々駆使して働かれている事を、少し気にして貰えると。

なんか、低賃金問題とか日本の繊維に関わる人達も報われてく気がする。

寧ろ、報われて欲しい。

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