アート|エッセイ

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「ダウト:本当の自分ってなんだろう?」

キラキラしたSNSの世界。みんな笑顔で完璧な日常を見せているけど、その裏側ってどれだけ本当なんだろう?誰かに認められたい、いいねが欲しい、もっと見られたい…そんな気持ちで投稿している自分に、時々「これって自分?」って思うこと、ないかな? この絵のゴールドの顔は、まさに「理想の自分」。カッコいい、オシャレ、美しい、そんな憧れの姿。でも、その表面がひび割れて見えてくるのは、普段隠している「ありのままの自分」。SNSでの投稿や外での自分と、家に帰って鏡を見た時の自分は、果たして同じ人だろうか? 世の中には「こうあるべき」っていうルールみたいなものがたくさんある。流行の服、トレンドのヘアスタイル、バズる投稿。でも、それに合わせて自分を作っていくうちに、どこかで本当の自分が薄れていくような感覚ってない?みんなの期待に応える「自分」を作るのに疲れちゃうこともある。 「ダウト」って言葉は「疑う」って意味だけど、この絵が問いかけているのは、まさにそこ。自分が追い求めているものが、本当に自分にとって大事なものなのか、それとも誰かに合わせて作った理想なのか。表面を磨くのは大事だけど、その奥にある素の自分を忘れちゃいけない。 若い世代だからこそ、これからいくらでも「自分」を作れる。だけど、その過程で「本当の自分」を置き去りにしないでほしい。この絵はそれを思い出させてくれるんだ。ゴールドの輝きもいいけど、ひび割れたその下の本当の顔にも価値がある。むしろ、そこに一番の魅力があるんじゃないかな。

アート|エッセイ

電波塔

電波塔 「僕の記憶の旅 – 初めての電波塔」 初めて電波塔を目にしたのは、何とも言えない時間帯だった。午前4時くらいだったかな?いや、もっと遅かったのかもしれない。時計の針が示す時間ではなく、あの時の空気感や風の冷たさだけが、やけに鮮明に残っている。薄い青の空が夜の名残を引きずりながら、少しずつ朝へと変わっていくあの時間帯――それが「未知」と呼べる瞬間だった。 転校先での初めての友達との約束が僕をその時間に連れ出した。サッカーの朝練に誘われ、彼は「朝、君の家まで迎えに行くよ」と言った。転校生としてまだ馴染みきれていない僕にとって、その約束はまるで人生の小さな救いのようだった。だから、その朝を迎えるまで、眠れない夜を過ごした。 目覚まし時計の音よりも早く起きて、ジャージを着て、玄関を出ると、ひんやりとした空気が肺に入ってきて、それだけで身体中が目を覚ますようだった。そして、待ち合わせの時間が近づくたびに、なぜか鼓動が速くなるのを感じた。 彼を待つその間に、僕は道端に立ち、ふと視線を上げた。そこに、異様とも言える大きさの電波塔がそびえていた。まだほの暗い空の中に、それだけが浮き上がって見えた。無機質な金属の塊が、どこか威圧的で、だけど不思議と心に残る存在感を放っていた。「こんなものが、僕の新しい街にはあるのか」――そんな思いが頭をよぎった。 あの待ち時間、空の色が少しずつ明るさを増していくのをぼんやり眺めていた。夜の青が朝の薄いピンクに溶けていくような、不思議な色合い。鳥の声が聞こえ、遠くから新聞屋のカブが走る音がした。これから始まる一日に僕はまだ慣れていなくて、まるでこの新しい生活が自分に馴染むのかどうか確かめるように、その風景を眺めていた。 友達は結局、待ち合わせの時間を少し過ぎてやってきた。彼の明るい声に呼びかけられ、少し緊張していた気持ちがふっと軽くなったのを覚えている。彼と歩きながら、その電波塔の話をしたっけ。「あれ、なんか怖くない?」と僕が言うと、「慣れるよ。いつも見てるから」と彼は笑った。その一言がなぜか安心感をくれた。 あの朝を境に、僕の転校生活は少しずつ始まった。あの電波塔も、街の風景も、友達と過ごした時間も、やがて「慣れ」という名の記憶に溶けていった。でも、いまだに鮮明なのは、あの待っていた時間、あの空の色。そして、人生で初めて「知らな

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