値付けとパーパス経営は、同じ根から生まれている
子どものフィギュアスケート衣装をつくる中で、ずっと悩み続けてきたテーマがあります。 それは「値付け」です。 相場に合わせるべきなのか。 お客さまの事情に寄り添うべきなのか。 技術や経験に見合った価格を貫くべきなのか。 この問いは、僕にとって単なる“お金の問題”ではありませんでした。 最近になって、ようやく気づいたことがあります。 値付けは、パーパス(存在意義)と深く結びついている。 むしろ、パーパスをもっとも正直に映し出す鏡だということ。 パーパス経営とは「何のために存在するか」を決めること 以前、僕は自分の会社のパーパスについてブログを書きました。 衣装づくりを通して、何を守り、何を未来に渡したいのか。 その軸を言語化したものです。 これが、僕のToecrosでのパーパスです。 値付けは、そのパーパスを“社会に翻訳する行為 パーパスが理念だとしたら、 値付けはその理念を現実に落とし込むための“実装”です。 どれだけ美しい言葉を掲げても、 値付けがそれに反していたら、パーパスは崩れてしまう。 だからこそ、 値付けはパーパスに対する覚悟の表明なんです。 技術を守るためには、適正価格が必要 僕の衣装づくりは、ただ縫うだけではありません。 こうした“考える時間”も、作品の一部です。 そして、 この思考の深さは、効率化できない。 大量生産にも置き換えられない。 だから、適正価格は技術を守るための最低条件。 パーパスを守るための必然でもあります。 時代に逆行しても、守るべき価値がある 今は効率や安さが求められる時代です。 手仕事に時間をかけることは、時代錯誤に見えるかもしれない。 でも、僕はそれでいいと思っています。 なぜなら、 衣装づくりは“未来へ繋ぐ技術”であり、 子どもたちの表現を支える“芸術”だから。 パーパスを守るためには、 時代に逆らう勇気も必要です。 理解してくれるお客さまがいることが、何よりの支え ありがたいことに、 僕の価値観を理解してくださるお客さまがいます。 「この衣装じゃなきゃダメなんです」 「この子のために、ここまで考えてくれてありがとう」 そんな言葉をいただくたびに、パーパスと値付けが一本の線でつながる感覚があります。 僕は、ただ衣装をつくっているのではなく、 その子の人生の一瞬を形にしている。 その事実が、値付けの迷いを少しずつ溶かしてくれます









