最初の繊維の仕事依頼

closeup photography of presser foot of sewing machine

繊維を扱う仕事とは少し離れてみようと思って、外の世界へ飛び出してみたのもの。

結局は、離れてもやはり僕という存在が社会で必要としてもらえることは繊維を扱って何かを作る相談とか、

実際に生地を持ち込んできて何かを作ってほしいとの依頼が多かった。

なので、世の大きな流れに逆らう理由もないから。

役に立つこと=仕事

シンプルに。

深く考えない。

最初にいただいた仕事の依頼は、

子供用のバックパックの量産の相談だった。

ハンドメイド作家さんが、

ハンドメイドブームに本人の予想に反してSNSなどでブレイクしてしまい。

原料になる生地、付属資材の仕入れから工業パターンまでの相談だった。

素材は8号帆布(綿100%)

厚くて固い。バッグにする。

衣料には向いてない。

大量の糊がついた状態で仕上がってきます。

依頼にこられた時に見せていただいたサンプルは、一般の家庭用ミシンで試行錯誤し縫われていたもので。

自分が10代のとき専門学校にいきたての夏休みとかに無理やり、

何本も針を折りながら縫った記憶とも重なり。

なんか協力したいと思い協力させていただいた。

生地に対して使う針の選び方から。おそらく16番の針か18番くらいが妥当だろう。糸は30番手。

パターンの修正も工業用に変更していかないとならない、今のサンプルから見た感じではこの素材にしては重なる箇所が多すぎて。。。

ここは、何枚重なってるのだろう?

6枚?   これは、針が折れるな。。。

とかなんとか。できるだけ、

デザインの変更にならないような縫製仕様を意識しながら修正してくのが工業パターンを作る上での最低限のルールだ。

デジタル化の増えていくこの業界だけれど、最終的に製品を組み立てるのは人間の手。

どんなに精工な計算で作られたパターンであろうと、組み立ては人間の手。

幸い、この素材は熱で縮むなどの伸縮に関しての問題はないもの。

いつもは、生地のアイロンテストをして縦横の縮率を割り出してくものなのだが。

あきらかに固く、ごわごわの生地なんで縦横の縮率0%。問題なく、裁断に入れる。

量産の裁断は、生地を重ねて裁断機などで何枚もまとめて切るのが通常。

だけど特に設備もない現状、あるのはハサミとロータリーカッターくらいのもの。

選んだのは、ロータリーカッターでの裁断。

男性なら、5枚は重ねて裁断できます。

ストラップなどの細かいベルト類は纏めてなが~く切っておきます。

まとめて縫って、最後にパターンの長さに切って寸法を合わせるので。

一枚づつパターン通りに正確に切るのは、良い方法ではないのですね。

量産の場合だと。縫製の効率も全然違ってきます。

ちなみに、5枚重ねて裁断は一日に5往復の裁断ですね。おおよそです。個人差はあると思うけど。

なので、1日25個分裁断できる。一個当たり500円の工賃はほしいところ。

だが25個では、量産といえる数ではない。

本格的な裁断設備のある会社を探して巡りあるくこと1か月くらい。

裁断だけを請け負う会社というのも中々見つからず、

ようやく閑散期だけ請け負っていただける会社がありました。

100個以上の発注という条件で1個あたり200円で。

これはかなりのコストダウン。

縫製の職人さん一人で自宅で縫製を請け負っているかたにサンプルを持参し工賃交渉したところ1個=1800円くらいならうけおっていただけることに。

ただし、毎月30個以上を発注していただくという条件のもとで。

それはそうですよね。

一日五個計算の一週間分の仕事と考えて54000円。

最低限一週間の稼ぎは確保したいものですから。

裁断工賃と縫製工賃と合計で2000円で一つ作れることに。

そして、ここからが結構重要でここから依頼主にいくらで販売するかで自分のマージン収入が決まってくる。

荷物を運んだりする輸送コストもかかってくるものです。

意外と、生地もまとまった量になると重さがあるんです。

そして、反物の状態では、宅急便は使えない。

佐川急便だとかトラック便とか。長物のなんちゃら。。とかで、送料も高くつく。

あれこれ考えるよりも、とにかく動かしてみることに。

僕自身、縫製現場の経験もあるから裁断は外注して、とりあえず自分で縫ってみることに。

どうやれば効率よく早くたくさん縫えるか今持っている道具で一個でも多く完成させることを目標にシュミレーションもしてはみましたが、調子の良い日で6個。普通にこなせて5個。

一日の売り上げでいうと。9000円。とても薄給(涙)。。。

一か月、毎日続けても20万の収入にもならないのだな。と。

ゆえに、日本の縫製業界の若者の職離れの現実を身をもって知ることになりつつ。

現状打開には、この作業に平行してもう一つの業務を受けていくか、

この量産をもっと生産性の高いところに外注することで、

できる時間でやれることを模索してこうと考えてくことにした。

自分で縫製ができて、デザインもできてと思う人間が最初の失敗を犯すのが大抵は、

ネットショップを作って自ら販売をしてくという方法。

僕も真っ先に思い付いたのが、それだ。

まったく、迷う余地はないと思う。最も利益の上げやすい方法だしね。

でも、違うんだよね。

何べんも何べんもショップに写真をアップしてSNSに情報を流してみても、

趣味程度の活動にしか膨らんでいかないのね。

思いとどまり、僕の選んだもう一つの道は。

作って売りたい人、でも縫製とかできない。

でもオリジナルの服だとか繊維を使ったものを売りたい人をサポートしていく業務。

アパレルOEMとかかっこいい呼び名もあるけど。

便利屋さんみたいなものだよ。

最初の依頼をうけれたのは知人の紹介だった。

特に、僕は広告をだして仕事を集めようとしていたわけではなかったので、

知人経由以外は仕事を依頼する人もなんだか良くわからないでしょうからね。

日々、縫製作業もしつつ、アパレル便利屋業務もはじめていくことになるわけなんだよね。

そして、子供用バックパックの依頼は急なオーナー側の事情で休止を告げられることになるんだけど。。。

まさかの坂が、そこにあったわけだよね。

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