草木を使った染色が古代に始まる
日本では古くから自然の植物から色を獲得して、身にまとう布に染色をしていました。目的が色をつけることではなく、身を守るための薬用効果だった。
元々は、自分の身を守るための薬用効果を求め
参考文献をもとに 『日本古代の色彩と染め』にも記述ありますが、祈念と薬用効果を求めて、衣類を染色し身につけていたとされる資料があります。
強い木霊が宿る草木→草木に宿る霊能が、病気という悪霊によってひきおこされた病気、苦痛か人体から取り除いてくれる作用があると考えられていた。
草木染めに使われる植物は、もともと薬用として使われてきたものが多い。
代表的な染色植物の薬効
- ①藍(タデ科) 虫よけ効果。虫刺されに葉っぱの汁を塗ったり。種子を煎じて解熱、解毒の為に服用された
染色された色はブルー、侍ブルーとも呼ばれます。
②ウコン(ショウガ科)
民間薬として、止血剤、尿血、胆道炎などにつかわれた。現代だとあれですね。有名な「ウコンのちから」~二日酔い抑止効果のドリンク
染色されると見た通り黄色く染まります。
< class=”wp-block-quote”>③梅(バラ科)
果実部分をつかい、昔から民間薬として重宝され 未熟な梅の果実を、薫製(くんせい)にしたものを烏梅(うばい)と言い、煎じて風邪薬や胃腸薬として用いたり、止血や切り傷の手当てにも使用されてきました。
染色に使われるのは枝です。色は、うすいピンク
④キハダ(ミカン科)
「ベルベリン」を含む、殺菌作用が強く胃腸薬や下痢止めで服用。内皮の黄色の色素が染料になる。
絹などに染色すると非常に鮮やかな発色をします。ですが、紫外線に弱いので屋外で日光に30分もさらすと褐色に変色します
⑤ザクロ(ザクロ科)
果実の皮は、下痢、下血に効果がある。
幹や、枝、根っこの皮の主成分はアルカロイドのペレチエリンで条虫駆除剤(虫くだし)として服用された。
染色には果皮を使う。
ベージュや黄色、独特の青味がかった褐色に
⑥紅花(キク科)
月経不調や産後の腹痛などに効果。染色に使われるのは花、赤みを帯びてきたころに使う
どのくらい植物染色は抗菌作用があるのか?
抗菌効果に関する実験が、小柴辰幸さんの記事にあるので紹介します。 月刊染織1994年4月号に小柴辰幸さんの「草木染めの薬用効果」を参考 にしてます。
実験では、染色された布と未染色の布を比較して、黄色ブドウ状球菌に浸透させて菌の増減の差を検証しています。評価の基準として、①菌の増減の値の差が1.6以上を◯、染色していない布より、菌の生育を抑制したが△菌の生育を抑制しなかったを×としています。
結果は、以下の通りです。
◯ ④キハダ⑤ザクロ⑧チョウジ⑩やまもも
△ ①藍②ウコン③梅
× ⑥シコン⑦センブリ⑨紅花
もともと抗菌力があるとされたキハダは、しっかりと抗菌作用がみられています。一方で、藍もキハダと同様に抗菌作用があるとされてきましたが、この実験ではその効果はイマイチと言えます。
ちなみに、この10種のなかで1番の菌の増減の差が出て、抗菌効果あるといえたのが、ザクロでした。
いずれにしても、キハダ・ザクロ・チョウジ・やまももは、染まるという観点だけでなく、天然の抗菌剤としての役割も果たす非常に優秀な染色植物といえますね。
ちなみにですが、身近なものでも草木染めはできます。
何が染料になるかと言いますと、玉ねぎの皮です。効能は、 有効成分「ケルセチン」は、花粉症・アレルギーの炎症を緩和、抗酸化作用、アレルギー抑制、抗がん作用、ボケ防止、肝臓・胃腸などでの脂肪吸収抑制(ダイエット効果)、その他、糖尿病、高血圧、癌、脳血栓、心筋梗塞、動脈硬化、胃弱、食欲不振、風邪、扁桃炎、下痢止め、便秘、出血、痛風、筋肉疲労回復、精力減退、精神不安、不眠症、アレルギー体質の改善、神経痛、 虫下し、やけど、虫刺され 等、様々な期待ができるといわれています。
参考までに、染め方は https://lust.co.jp/2019/08/11/%e5%8f%b0%e6%89%80%e3%81%a7%e8%8d%89%e6%9c%a8%e6%9f%93%e3%82%81/
昔、身をもって経験したのですが確かに菌はつきにくいと思います。物置に生地を積んでおいたことがあったのですが、染色済みのものはきれいに残ってました。
しかし、染色前のものはカビだらけに。梅雨時のほんの2~3日の出来事でした。
ちょっと興味がでてきたかたにお勧めな本もご紹介します
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